赤ちゃんが生まれると、今までの家族生活は一変します。赤ちゃん中心の生活が始まり、立場が「夫と妻」から「父と母」に変わります。
赤ちゃんが誕生することは家族にとってこの上ない喜びです。その一方で夫婦間の愛が冷えたり、関係が希薄になったり、お互いを思いあう時間がなくなるといった危機が生じることもあります。
パパママは「赤ちゃんの誕生」という大きな生活の変化にどう対処することが出来るでしょうか?
■パパにママの体と心の変化を理解してもらう
妊娠、出産を通して女性は心と体が「母モード」に変化します。これは女性ホルモンの作用で、母乳育児を続ける限り続きます。
「一人目の赤ちゃんが大きくなるまで次の子供ができないよう守る」
こういった体の神秘でもありますが、そのおかげでママはパパを恋愛対象の「男性」と見ることが出来にくくなります。
一方、パパは十月十日(トツキトウカ:実際には8~9カ月)、ママのお腹が大きくなるのを見ていただけで、赤ちゃんが生まれたからと言ってその瞬間「父」としての認識が生まれるわけではありません。
そのため、今までママと二人仲良く暮らしていたのに赤ちゃんが生まれた瞬間から、パパはママの第一が自分ではなく子供に移ったことを受け入れにくく、さびしく感じることがあります。
自分だけ蚊帳の外に置き去りにされたかのように感じる事さえあります。
このような方法で乗り切りましょう。
- パパに本や資料などで出産後のあなたの体や精神状態に関する正しい知識を取り入れてもらいましょう
- パパにあなたが今どんな気持ちなのか聞いてもらうようにしましょう
- ママであるあなたは赤ちゃんばかりに気を取られがちです。しかし赤ちゃんを独り占めせず、パパが「父モード」に変化できるよう育児に参加してもらいましょう
■二人きりで過ごせられる時間を努力してつくる
赤ちゃんが生まれると授乳や夜泣きなどに追われ、毎日のスケジュールが思うようにいかなくなります。特に生まれたばかりだと、夜中でも2時間ごとに授乳のために起こされるので、ママはフラフラで疲れ切っていますよね。
今まで夫婦ふたりでコーヒーを飲んだり晩酌したり、ゆっくり会話を楽しんでいた時間が奪われ、子育てに使われるようになります。徐々に夫婦関係がぎくしゃくしたり、片方がさびしい思いをすることがあるかもしれません。
二人で過ごす時間をもっとたくさん作るには2つの方法があります。
1つはお互いが赤ちゃんの世話を交代でみる交代制ルールをつくることです。
そうすることによってパパが積極的に育児に参加することになりママがゆっくり休められる時間を作れます。
パパは仕事から疲れて帰ってきてゆっくり寝たいと思っているかもしれませんが、育児を手伝ってあげられるのは夜のみ。夜中におむつを変えたりミルクを飲ませるなど率先して手伝ってあげることで、妻が夜に休んで力を回復できるよう助けてあげましょう。
ポイント:夫が育児に参加するためにルールを作る
2つ目はパパママお互いが努力して「時間を作る」ということです。
「時間があれば…」と言っているうちは暇な時間は生まれません。10分でも15分でも構いません。夫婦二人きりで会話ができる時間を強制的に設けます。
赤ちゃんのミルクの時間は不定期ですから「20時15分から20時30分まで」なんて具体的に決めることはできません。それでも1日のうちで時間を作って20時以降に15分間時間を作って二人でコーヒーを飲むと決めてみるのも一つの手です。
もしパパの仕事が忙しく夜遅く返ってくる場合は、朝15分早起きしてもらって出勤前に時間を作るということを提案してみましょう。
ポイント:二人っきりで語り合う時間を作る
■自分の立場を忘れない
赤ちゃんが生まれると自分の身分、立場が一つ増えます。以前は「妻」であり「女」であったのが「母」にもなるのです。
でも忘れてはいけないのは、子供はいつか巣立っていきます。「父」「母」という身分と責任は子供が成人して家をでるまでのひと時のことですが、「夫」「妻」という役割は死が二人を別つまでずっと続くものです。また子どもの幸せは、両親の幸せを基盤にしているということも忘れてはいけません。
つまり、幸せに子育てしたいのなら、夫婦の関係を強く仲がいいものにしておく必要があります。子育てが忙しいからと言って、夫の事をおざなりにしたり、夫に愛情表現をしなくてもいいというわけではありません。
幸せを長続きさせるために、赤ちゃんが生まれた後も、夫に口頭やメールで愛していることを伝えましょう。
「そんなの恥ずかしい!」
そうですよね。だったらせめて感謝の気持ちだけでも伝えましょう。ミルクをあげてくれたら「ありがとう」。おむつを替えてくれたら「ありがとう」。この程度でかまいません。
あなたにとっては当たり前かもしれませんが、パパは慣れない育児に参加して戸惑いもあります。慣れないところを頑張ってくれてありがとうと伝えることで、パパはあなたが普段やっている育児に対して尊敬の念を抱いてくれます。
■子育ての価値観を合わせておく
赤ちゃんが1歳、2歳と大きくなってくると、「しつけ」が加わってきます。そこで浮き彫りになるのが夫婦の価値観の違いです。
例えば、、
パパは嫌いなものは無理して食べなくてもいいと考えて、ママは嫌いな物も体のために我慢して食べなければならないと考えたりすることです。
二人だけのときでは考え方が違ってもなーなーで済んでしまいがちです。でも、子供の教育となると価値観の違いが明らかにパパとママの考えがぶつかってしまいます。
パパは「嫌いなものは無理して食べなくてもいいよ」と言い、ママは「嫌いなものでも我慢して食べなさい」と言うと子供は混乱してしまいます。
このように夫婦の価値観が異なれば、子供は同じ状況に2通りの意見を聞くことになり、混乱させられます。
夫婦の間で「ここまでは許せるが、ここからは叱る」という境界線が曖昧だと、子供の精神を不安定にさせます。その結果子供は往々にして厳しくない方の親の側につくようになります。
こういったことをなくすためにパパとママはいろんな場面において自分の意見はどうか前もって話し合っておくべきです。
夫婦でしつけの基準を合わせておくことで子供が混乱することを減らすことができます。
子供を叱るなんらかの状況に直面した際に両親の意見が分かれているのを見ると、子供は親の意見を信頼できなくなるかもしれません。
■まとめ
赤ちゃんが生まれることはパパとママにとって待ちに待ったことです。しかし子供の誕生が原因で夫婦がぶつかることも出てきます。
- パパにママの心と体のケアをしてもらう
- 二人っきりの時間をつくる
- ママは自分の立場を忘れない
- 子育ての価値観をそろえる
こうしたことで夫婦の危機を乗り越えることができます。
まずはママの心と体の変化をパパに率直に話してみることから始めてみましょう。