新しい離乳食方法として注目されているBLW。
一般的な離乳食の手づかみ食べと大きく変わりませんが、正しい知識、認識がないと赤ちゃんを危険にさらしてしまうかもしれません。
一般的な離乳食との違い、始め方、注意点を知り、窒息や栄養の偏りに注意が必要です。この記事ではBLWについてご紹介します。
BLWってなに?
BLWとは「Baby-Led Weaning(赤ちゃんに任せる 離乳)」の略で、イギリスの保健師で助産師のGill Rapley氏によって提唱され、現在では20カ国以上の国で注目を集め、親しまれている手づかみ食べ離乳食法のことです。
赤ちゃん自身が順番や量、ペースを考えて食べる離乳食の進め方です。スプーンで食べさせたり、裏ごしやすり潰す必要はありません。
Gill Rapley氏の執筆した「自分で食べるが食べる力を育てる 赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門」の日本語版が発売され、日本でも注目されるようになりました。
BLMのメリットデメリット
メリット
- 赤ちゃんが自分で量や順番を考え食べ進めることで、自信や自尊心をはぐぐむことができます
- 一般的な離乳食のようにペースト状に調理する必要がなく、カットし加熱するだけなので調理が簡単で離乳食を作る負担が減ります
- BMW初期は「食べる」ことよりも、「遊び」「学び」が目的なので、食べてくれなくても落ち込む必要がありません
- 離乳食期はママやパパの食事は後回しになりがちですが、BMWは家族みんなで食べることが基本なので、家族で過ごす時間が増えます
- 自分で選ぶ、目で見る、手先を動かす、口を動かすなどの動作が、赤ちゃんの成長発達を促進してくれます
デメリット
- 食材を上手くつかめず落としたり、遊んで投げたりするお子さんもいますので、あらかじめ、椅子の周りに新聞紙や防水のマットを敷いておくと片付けが楽です
- 日本ではペースト状から離乳食を開始することが一般的なので、周囲から行気が悪い、と否定的に思われてしまうこともあります
BLWで気をつけることは?
一般的な離乳食も同様ですが、BLWを行うときは必ずお子さんの近くで見守りながら行いましょう。
また、ナッツ類や繊維が多く、食べにくい食材は避けましょう。ぶどうやミニトマトなどの小さな果物や野菜は半分にカットし、種があるものは必ず取り除いてくださいね。
BLW初期に赤ちゃんが食べられる量はわずかですが、アレルギーが出現しやすい食べ物はよく加熱したり、少量から始めるようにしましょう。
BLWはいつから?
BLWの開始時期としては、生後6ヶ月を目安として、窒息の可能性を避けるために、お座りができることが開始条件となります。
一般的には5ヶ月から始める離乳食ですが、BLWの場合は、焦ることなく、赤ちゃんの成長に合わせて開始することができます。
BLWの始め方と進め方
姿勢
膝の上やハイチェアに座らせてあげましょう。支えが必要な場合にはクッションなどで体勢を整えてあげましょう。
赤ちゃんの機嫌が悪くないか、手が自由に動かせているか確認してください。
食形態
掴みやすい太めで長いスティク状の物から始めましょう。やわらかくゆでた野菜や果物から始めるケースが多いです。
徐々に新しい形状や手触りのものを与えることで、赤ちゃん自身がどうやって扱っていくか、味や食感を学ぶことができますよ。
赤ちゃんの前に食べ物を置くか、ママやパパの手から取ってもらうようにしましょう。手に取るか、食べるかどうかは赤ちゃん自身が決めます。
実施するタイミング
赤ちゃんが元気で、空腹で機嫌が悪くないタイミングで実施すると、食事に集中することができますよ。
この時期の赤ちゃんは、必要な栄養は母乳やミルクから得ていますので完食しなくても大丈夫です。
食事中のポイント
可能であれば家族も一緒に食事をしましょう。赤ちゃんは、大人の食べていところを見て食べ方を学ぶことができます。
また、赤ちゃんが食べているときは、食べることに集中させてあげましょう。
避けるべき食材は
一般的な離乳食と同様に、塩分や砂糖、添加物を多く含むもの、よく火を通していない肉や魚、繊維が多く食べにくいもの、蜂蜜は避けるようにしましょう。
窒息しやすいの?
窒息に関してはすでに研究で従来の離乳食と窒息の危険性は変わらないことがわかっています。重要なのは咳反射と咽頭反射は心配がないと言うことです。危険なのは誤嚥です。
誤嚥とは異物が気道に入ることです。気道が完全に閉塞された状態を窒息と言います。咳反射と咽頭反射は誤嚥しないための安全機能です。
6〜7ヶ月の赤ちゃんは反射が起こるポイントが舌のかなり手前にあります。
この時期に固形物を食べる練習をすることで、より安全に固形ずつの食べ方を学ぶことができるとされています。つまり、赤ちゃんは反射を通して安全な食べ方を学ぶことができるのです。
BLWと手づかみ食べの違いは?
BLWでは赤ちゃんのペースで固形物の手づかみ食べが始まりますが、日本では、離乳食中期または後期から赤ちゃんが手で食べたがったら手づかみ食べをさせます。
また、BLWでは特にサポートはせず、赤ちゃんが食べたがるまで待ちますし、食べなかったら無理に食べさせることなくその日は終わりとします。一方、日本では食べなかったらママやパパがスプーンで食べさせてあげるといった違いがあります。
「BLW炎上」とBLWが危険と言われる理由は何?
Twitterなどで検索してみると、小さなうずらの卵やさくらんぼ、ぶどうをそのままあげていたり、6ヶ月の赤ちゃんにローストビーフを与えていたりする投稿がありました。
確かにこれは子を持つ親としてはゾッとなるような投稿でした。さらに、頑張らない離乳食育児がしたいならベビーフードを使用すればいいといった投稿もありました。
BLMは捉え方によっては楽するためのものと思う方もいるかもしれません。しかし、赤ちゃんは自分で食べ物をきれいに食べることはまだできないので、片付けがとても大変です。片付けがストレスでしかないといった投稿もありました。
様々な投稿を見ていると、批判される主な理由は、窒息の可能性と誤った認識で食べ物を与えていることだと感じました。
日本BLW協会も注意喚起をしていますが、誤った認識で赤ちゃんに食事を提供することはとても危険です。実際に、ぶどうやトマトをそのまま食べて死亡してしまった乳幼児の悲しい事故があります。
危険のないようにそばで見守り、食べさせるものの大きさ、硬さは常に注意してあげる必要があります。
また、赤ちゃんは消化器官が未発達です。栄養面やアレルギー症状が出やすい食べ物に関しても、一般的な離乳食と同様注意が必要です。
BLW離乳食中の赤ちゃんを保育園に預ける場合は?
保育園では給食(離乳食)の提供が義務付けられています。
基本的には赤ちゃんの月齢や咀嚼、嚥下機能に合わせた離乳食、一般的な離乳食が提供されると考えておくといいでしょう。
厚生労働省の「保育所に開ける食事の提供ガイドライン」では保育所の保育は、家庭環境も発達状況もここに異なることを十分に配慮しながら行うことが基本である。そのために、家庭での食事の状況を踏まえながら、個別の対応をすると明記されています。
まずは、保育園にBLWと言う離乳食を行っていることや、食事内容、方法、食事の様子等を伝えてみましょう。
家庭での情報は保育園にとって重要です。必ずしも対応してくれるかは保育園によって違いますが、どうしていくか話し合ってくことは大切なことですよ。
まとめ:BLW離乳食は正しい認識・知識で行えば危険ではない
BLWとは、イギリス発祥の赤ちゃん自身が順番や量、ペースを考えて食べる離乳食の進め方です。
BLWは、周囲の理解が得られにくかったり、片付けが大変だったりといったデメリットもありますが、スプーンで食べさせたり、裏ごしやすり潰す必要はないため、調理が簡単です。
また、赤ちゃんが主体的に行うことで、自信や自尊心をはぐぐむことができるなどのたくさんのメリットがあります。
しかし、間違った知識、認識のまま行うと、窒息や栄養の偏りなどを引き起こしてしまう危険性があるため注意が必要です。
一般的な離乳食もBLWも、赤ちゃんのそばで見守りながら食べさせ、食べさせる大きさ、アレルギーに注意することは変わりません。
新しい方法を取り入れるときは不安もあると思いますが、ママとパパで話し合い、正しい知識、認識を持って、安全に赤ちゃんの離乳食をすすめていきましょう。