栄養価が高く、手軽に離乳食に使うことができるトマト缶はとっても便利ですよね。
しかし、一方で「トマト缶は危険」という噂を聞いたことがあるママも多いと思います。
- 生食用トマトは高いし、下処理が大変だから、トマト缶を使ってみたい
- トマト缶に乗り換えたいけど、栄養面はどう変わるの?
- トマト缶は危険だという噂を聞いたので心配、、、
- ホールトマトとカットトマトはどっちがいいの?
トマト缶を離乳食に使うことを検討しているママにおすすめの記事です。
トマト缶は生食用トマトより栄養価が高い?
もともとトマトは栄養価の高い食材です。
- Bカロテン
- リコピン
- クエン酸
- 食物繊維
- カリウム
- ミネラル
など、免疫力UPや疲労回復、生活習慣病などに効果のある栄養素が豊富に含まれています。
そしてトマト缶はさらに栄養価が全体的に高いです。特に赤や黄色、オレンジ色の色素であるリコピンは約3倍も含まれています。トマト缶は加熱されているため、ビタミン類は多少失われてしまいます。
しかし、トマトに含まれるリコピンは、
- ビタミンEの約100倍
- Bカロテンの約2倍
と言われるほど、抗酸化作用が優れています。
抗酸化作用は免疫力UPや腸内環境や便秘の改善、美肌効果や生活習慣病の予防などが期待できます。赤ちゃんだけではなく、大人もしっかりと摂取したい栄養素ですね!
さらに、生食用トマトに比べて、トマト缶のトマトはしっかり熟成させてから、収穫されています。そのため、トマト缶は生食用トマトに比べて、うま味成分であるグルタミン酸が2~3倍もの量が含まれています。
そして、トマト缶には加熱することで美味しくなるトマトを使用しています。赤ちゃんの離乳食は「加熱する」ことが鉄則です。栄養価が高いだけではなく、加熱向きトマトを使用しているトマト缶は、離乳食にもぴったりですよ!
トマト缶を離乳食に使うポイントや注意点は?
赤ちゃんは生後5~6か月の離乳食初期からトマトを食べることができます。
ただし、トマト缶を使用する場合は、無塩のトマト缶を使用しましょう。
トマトの下処理は?
トマトの下処理は結構大変ですよね。離乳食の場合は、ヘタだけではなく、皮や種も取り除いてあげる必要があります。
しかし、トマト缶を使用すれば、種以外は取り除かれているので、ママも少しは手軽に離乳食を作ることができますよ。
トマト缶でも、種を取り除く必要はありますが、種は少し取り残しがあっても、消化せず、うんちと一緒に排出されます。
「取り残しがあったらどうしよう、、、」
と過剰に心配しなくても大丈夫です。
ただし、離乳食が始まって間もない場合や、お腹が弱い赤ちゃんに与える場合は、種の取り残しに注意しましょう。
また、種の部分には酸味成分が含まれています。初めてトマトを食べる場合は、酸っぱさにびっくりしてしまう赤ちゃんも多いです。苦手な野菜にならにように、しっかり取り除いてあげましょう!
ホールトマト缶とカットトマト缶の違いは?
トマト缶には「ホールトマト缶」と「カットトマト缶」の2種類あります。
いったいどんな違いがあるのでしょうか?
<ホールトマト缶の特徴>
- 主にイタリアのサンマルツァーノ種という細長いトマトを使用
- ヘタや皮はないが、種はしっかり残っている
- 果肉が柔らかく、味が濃厚
<カットトマトの特徴>
- サンマルツァーノ種の改良種や、他の品種の丸いトマトを使用
- ヘタや皮がなく、種は少なめ
- 果肉がしっかりしていて、酸味が少し強く、さっぱりしている
それぞれの特徴を並べてみると、ホールトマト缶の方が熟していて、甘そうなイメージを持つのではないでしょうか?
個人的には、種の処理は面倒ですが、最初はホールトマトをおすすめします。特に離乳食初期は、ペースト状にすることが多いので、煮崩れしやすいホールトマトを使用するのが良いでしょう。
トマトに慣れてきたら、カットトマトも試してみましょう!ホールトマトに比べると、少し酸味を感じやすいため、与える時は苦手意識を与えないように注意しましょう。両方のトマト缶を混ぜて与えると食べられるようになることもありますよ!
トマト缶が危険って噂はウソorホント!?
インターネットでトマト缶について検索すると、「トマト缶は危険」という言葉を見かけます。その危険性というのが、
「トマト缶の内側にコーティングされているビスフェノールAという薬品が、トマトの強い酸で溶け出し、健康被害を与える」
というものです。
栄養満点で、離乳食に便利なトマト缶は、本当に使用できないのでしょうか?「ビスフェノールA」について詳しく紹介しましょう。
ビスフェノールAとは
ビスフェノールAはプラスチックの原料です。「BPA」と省略されて記載されている場合もあります。主にプラスチック食器やカップ麺の容器、ペットボトルなどに使用されています。他にも、電化製品や建築物に使用されていることもあります。
トマト缶といった缶詰製品には、サビ止め剤として使用されており、熱や紫外線、酸性やアルカリ性に触れることで溶け出す場合があります。
ビスフェノールAの悪影響は?
ビスフェノールAは、大量に摂取してしまうと、成長ホルモンや生殖ホルモンに悪影響があります。さらに、肥満や糖尿病、心筋梗塞とも関連性があるとも言われています。
その結果、フランスでは2015年からビスフェノールAの食品関連物への使用が禁止になってしまいました。
トマト缶だけが、危険なわけではない
「トマト缶は酸っぱいので、ビスフェノールAが多く溶け出す」と言われていますが、実際は、他の缶詰食品とあまり変わりません。
海外製造の缶詰のビスフェノールAの溶出量
フルーツ缶 |
検出せず |
トマト缶 |
0.023~0.029ppm |
ツナ缶 |
0.036~0.051ppm |
ミートソース缶 |
0.013~0.025ppm |
マッシュルーム缶 |
0.007~0.009ppm |
(日本生活協同組合連合会のホームページより抜粋)
この表によると、トマト缶よりもツナ缶の方が溶出量が高いことに驚く方もいるかと思います。溶出量は、「溶け出した量」ということなので、トマトの酸性によって、たくさん溶け出しているというのは、単なるイメージということがよく分かります。
しかし、トマト缶に限らず、ビスフェノールAを大量に摂取してしまうと悪影響であることに変わりはありません。
大量摂取とは具体的にどのくらいなのか?
日本の食品衛生法では、ビスフェノールAの耐容一日摂取量は体重1kgあたり0.05㎎と定められています。「耐容一日摂取量」とは、人が一生涯に毎日摂取しても健康に有害な影響が表れない量ということです。
体重50kgの大人であれば、2.5㎎以下であれば、毎日摂取しても問題ありません。
- 0.05mg×50kg=2.5mg
体重5kgの赤ちゃんで考えると0.25㎎以下であれば健康に悪影響はありません。
- 0.05mg×5kg=0.25mg
国内製造の缶詰容器については、2008年に飲料缶は0.005ppm以下、食品缶は0.01ppm以下となるようにガイドラインが制定されています。
しかし今回は、より基準値がゆるい、海外製造のトマト缶で考えてみましょう。
先ほどの溶出量の表をもとに、トマト缶のビスフェノールAの溶出量を0.025㎎とすると、
- 大人(50kg)の場合→2.5÷0.025=100缶
- 赤ちゃん(5kg)の場合→0.25÷0.025=10缶
となります。
つまり、「一日10缶までなら、食べても健康上に問題ない!」ということです。国内製造の缶詰であれば、さらに危険性は低いでしょう。
実際、「毎日トマト缶を10缶以上食べる赤ちゃん」なんていませんよね。安心して、トマト缶を使用しても大丈夫ですよ!
瓶や紙パックのトマトも!
ママの中には、「それでもトマト缶を使うのは心配、、、」というママもいるかと思います。そんなママには、瓶詰や紙パックのトマトもおすすめです。トマト缶と比べると、値段も高く、手に入るお店も少ないかもしれませんが、気になるママはぜひ探してみましょう!
まとめ
離乳食を作る際、トマト缶は便利で、栄養価もとても高いです。一般的な量であれば、健康被害がないことも分かりました。
しかし、ビスフェノールAに限らず、どんなものでも摂取し過ぎるのは禁物ですよね。
ぜひ色々な食材を使って、バランスの良い離乳食を作ってあげましょう!